かぷりちょーそ
おすすめ漫画ブログ
おすすめ漫画

※ネタバレあり ハコヅメ別章アンボックス第8話感想

ハコヅメアンボックスも第8話!

残り2話となりましたが……本当に伏線を全部回収しきれるのでしょうか?

もしかしたら、今回の話の中だけで完結するのではなく、今までもあったように次シリーズに持ち込まれる伏線もいくつかあるのかもしれませんね。

ハコヅメの伏線は、いったいいつからその設定が考えられていたのか分からないくらいの頃からこそっと張られていたりするので油断がなりません

 

気になる伏線と言えば、今回の冒頭でも中富係長たちが川合をお茶に誘ってるのを見て、記者さんがこう評していました。

「捜査員たちの緊張感が疲労とともになくなってきている」

しかし刑事課長にやり込められたくらいで、事件を投げ出すような人たちじゃないですもんね。そう考えると、これも何かの考えがあってのこと。
後々どんな伏線としてでてくるのか楽しみなところです。

 

 

続いて源・山田ペアと大山との事情聴取シーン。

大山も証拠のほとんどはないとたかをくくっているのか、明らかに舐めた態度です。
源さんをもってしても、聴取がうまくいっているとは言い難いですね。

この大山という人物、プライドが異常に高く、自分に都合の悪い人間はこきおろし、自分の作った都合のいい妄想を語る。自己愛性パーソナリティ障害に近いのかな?とも思います。
本来ならば、適切なケアを受ければ周囲との摩擦も減るかとは思われますし、今回のようなことにはならなかったのかもしれないのですが……
連載の序盤にも書かれていた通り、自覚症状のないこの手の一種の障害を何がしかのケアに結び付けるのは非常に難しいのですよね。特に、精神科の受診が社会的にハードルの高い日本の場合。

そんな大山の話を源さんが常ににこやかに粘り強く話を聞いているのは本当にすごいと思います。

話の脈絡もなく、しかも自分勝手な言動を聞かせられるストレスは、普通は耐え難いものです。この大山に限らず、自分を弁護する時の人間は本当に自己中心的で、まともな精神の持ち主なら、そのやり取りに怒りや呆れ感じるものです。
山田さんが大山の言葉に顔を覆うところでは、取り調べ中の刑事としてはちょっと問題がありますが、人間としては山田さんの方がしごくまっとうな反応だと思います。

私は正直、山田さんが耐え切れずに殴っちゃわないか気が気じゃなかったですね(汗

だからこその源さんの全く表に出さない辛抱強さがすごい。
大山が藤さんのことを話題にしたのを源さんが軽く受け流してますけど、あれなど絶対はらわた煮えくりかえってますもの。
正直、あの笑顔が怖いとすら思えました。

 

それから山田さんとカナさんの夜の会話です。

はあ~よき……

自分と山田さんとを比べて、また少し卑屈な気持ちになるカナさんが出した驚愕の提案。

でも、当然のごとく山田さんはそれを断ります。
そしていつもの調子で、ともすれば無神経ともとられかねないストレートな言葉を口にする山田さん。

ほんとに救われますね……

山田さんの言葉は、山田さんが発するからこそ、虚飾もなければ嘘でないことがわかる。こんなに信頼できる人が、ただ傍にいてくれるということがカナさんにはどれだけ救いになったのでしょう。

今回のエピソードの中で唯一といってもいいほど、ほんの少しくすりとできるシーンだったかもしれないです。

 

そして殺害された秋田るみさん宅にて。

妹の加代さんのエピソードがまた泣けます。

たった2コマなんですけど、日常の中で何かが少しずつ足りないことに気が付くと、大切な人がいなくなってしまったことに実感がわいてくる。それがさらりと描かれていてすごいです。

そして被害者家族の己を責める言葉の吐露。
人間は社会的な生き物ですから、周囲から責め立てられればその評価は正しいものかもしれない、と心のどこかで考えてしまうものです。
カナさんのご自分を責めないでください、というセリフも、直前まで死を考えるほど自分を責めていたカナさんだからこそ、本気の言葉としてご家族に届いたのかもしれません。
でなければ、こうしてギリギリのところでほんのわずかな可能性につながる証言は得られなかったでしょう。

そしてようやくつかんだ事件直前のカナさんの足取り。
自分が新たな道を選ぶことの決意したことを示す、墓前のしるし。
これがどういった新しい証言、証拠につながっていくかはわかりませんが、少なくともカナさんが大山の証言のような行動をとろうとしていたのではないことだけは分かります。

自分の父親へ気持ちを語りかけに行ったあとにすることが、あきらめきれない男の目の前での脅迫めいた自殺?
どうしたってつながりません。

あとたったの2話。

物語がどんな終焉を迎えるのか楽しみです。